批判覚悟であえて書いてみる。
ツイッターだけだと誤解も大きいので、思うところを書くことにしてみた。ブラウンズを追いかけているわけでもないので、情報が欠落している部分もある可能性が大いにあり、野犬留置場mentaiさんやブラウンズファンのお怒りを買うかもしれないが、NFLを追いかけている1ファンとして意見をシェアしたいと思う。

各目線で見えているものが全く違う事は明白であり、その目線ごとの視点を自分なりにまとめてみる。

【フロント】
オーナーがどういう風に絡んでいるか知らんので、基本CEOジョー・バナーとGMマイク・ロンバルディのことをさしている。彼らは新オーナー、ジミー・ハスラムに雇われる形でチームに入ってきた人間で、ロンバルディ自身はブラウンズに馴染みがあるとはいえ、このフロントは前オーナーの時代から完全に刷新されている。

その彼らからすると、前政権下での遺産はなるべく早く処理したいと考えていても全く不思議ではない。当然口ではそんなことは言わないだろうが、実際に成績が出せていない、そして出せそうに無いと見ているのであれば、徹底的に戦力を刷新したいと考えるのはむしろ自然であるといえる。

チャジンスキーHCの戦術に合わない、とか、一部の選手からは匿名でT-Richは精神的に成長しなきゃいけない(→ロッカールーム的にもネガティブな要素あり?)、とコメントもでていることを加味すると、戦力的な判断としてトレードで出すことは大きなマイナスになると考えていないということだろう。大きなマイナスを伴わずにドラフトピックを獲得することで来期以降の戦力増強が図れるということにつながるのであれば、純粋に戦力面だけでの判断としては正否の判断はこの時点ではできず、むしろWeek 3後に判断すべきであろう。

ただし、ファンに対する説明がきちんとなされていたかどうかという点は疑問が残る。そもそも記者会見の面子がバナーとチャジンスキーだけというのが今ひとつ理解できない。選手人事はロンバルディが握っているはずなのになぜ彼が顔を出していないのかが不可解。

【コーチ】
ここは主にHCであるロブ・チャジンスキーのこと。コーチ陣はそれなりにフィードバックできる立場にいるはずだし、そもそも新規政権が連れてきたチャジンスキーであるから、それなりに意見は聞くはずであると思いたい。それを踏まえると、チャジンスキーがこの決断を推し進めた張本人であるのか、単にトレード話にNoと言わなかったのかは分からないが、結果からして大きな声でNoと言ったわけではなさそうだから、T-Richが去った後もチームをコントロールできるという自信があったのであろう。ロッカールームの中心選手として見ていたのであればこのような人事には到底賛成するとは思われない。むしろ戦術に合わない選手で、しかもロッカールームの問題の種になる可能性があると思っていたのであれば、この計画の張本人なのかもしれない。

T-Richのドラフトの位置、そして2年目ということを考えれば、選手の中で大きなショックになることは間違いない。あえてポジティブな見方をすれば、この劇薬を使ったことで、お前ら全員仕事は保証されてないからな、と宣言したようなもの。短期的に見ればむしろポジティブな効果が望めないことはないと見ている可能性も無くはない。

とはいえこの状態でロッカールームのベクトルをひとつの方向に向けるのは至難の業ではないか。あるいはT-Richが抜けたことでポジティブな方向に向かうのであれば、彼はロッカールームでのリスペクトを勝ち取れなかったことを意味しているので、チャジンスキー自身はその点の心配はしていないのかもしれない。この一件でチャンスが出てくる選手もいるわけだから、その点も忘れてはいけない。

ただ劇薬の副作用の大きさを理解していない可能性もあり、ますます負のスパイラルに陥る可能性は大いにありえる。


【選手】
我々ファンが思っているよりも多くの選手はNFLがビジネスであることを理解しており、驚きはあっても切り替えが早いかもしれない。T-Richがエモーショナルリーダーとして存在していたのであれば別だが、恐らく2年目でそういうポジションにいなかったと思われるし、一部の選手から精神的な成長が必要だと見られていたというのが事実なのであれば、そこまで負の要素は無いのかもしれない。むしろ短命なNFLの選手生命において、明日はわが身、という気持ちで望む可能性が高くなる効果は期待できなくも無い。前述したが、チャンスが出てくる選手たちが出てくるわけでもあるんだし、その選手たち次第ではむしろポジティブな方向に行く可能性が無くもない。

それにオフェンスで起きた人事だし、比較的力のあるディフェンス側の連中は意外と冷静に見ているかもしれない。どうでもいいから得点とってくれ、的な。

【ファン】
今回一番無視されているように感じるのがここ。長く低迷していた中で希望の光と見ていたT-Richの放出での虚脱感は計り知れない。上記までに書いた点をどこまで多くのファンが冷静に見ているのかは分からないし、今シーズンを諦めていない、というメッセージが真摯に伝わってこない点は甚だ憤慨に値するであろう。嘘でもいいから今年のシーズンはまだまだあるし、ひとつひとつ勝ちにいくということを本気で伝える必要があると思う。GMがいない記者会見で、弱弱しいコメントしか出ていないのは至極残念に思う。ファンとしては「そうか、お前らはT-Richがいなくても平行線以上の戦力を保っていると考えているんだな?」と思えるメッセージは伝えてあげなきゃならないはずなのに、その点は完全に失敗しているように思える。いいフロントだったらロンバルディも同席した上でそういうメッセージを送らなきゃダメ。その点一点だけ見るとファンの気持ちを無視していると捉えられてもおかしくなく、最終的にこのトレードがプラスに作用するかは微妙に思える。



こうして文章に書いてみると、組織のリーダーが発するメッセージがいかに重要なものかという点がなんとなく今回の一番重視すべき点に思える。その点はうまく出来たとはちょっと思えないかなぁ。

個人的にはこういうNFLのビジネスの側面が私にとって大きなひとつの魅力であるため、こういう動き自体には全く違和感を感じないし、秤にかけてそういう判断に至ったのであれば構わないと思う。

組織として一貫性を通すことの方が非常に重要な面であり、ファンに対するメッセージもそのひとつであるのだが、今回の件に関しては記者会見のビデオを見る限り、その点はやはり評価できる印象は薄い。

今後のブラウンズはある意味注目されるチームだと思うし、個人的にも注目したい。

現時点では感情的になっておられるファンもいらっしゃると思いますが、是非ご意見を伺いたいです。コメントいただければ幸いです。mentaiさんともラウンジでこの件を肴に飲みたいところだが、なかなかそうも行かないのが悲しいところ。